Evolving Hanshin Port進化する阪神港
阪神港(神戸港および大阪港)では国際コンテナ戦略港湾として、コンテナターミナルの機能強化や港湾における DXを通したさらなる生産性の向上や、ユーザーの利便性の向上を推進しています。また、災害をはじめとしたあらゆるリスクに強いターミナル運営、物流効率化につながるフェリー・ライナー機能の強化・維持のほか、カーボンニュートラルポート(CNP)形成に向けた取り組みも進めています。
コンテナターミナル再整備の推進Terminal Reorganization
港のユーザーが求める「“定時に”かつ“スピーディに”輸送ができるコンテナターミナル」を目指した再整備を促進させることで、利便性の向上を図っています。
- 整備方針
- – コンテナ船の大型化に対応した大水深(-16m)高規格コンテナターミナルの整備促進
- – コンテナターミナルの一体利用の促進による施設の効率的な活用と、外航貨物・内航貨物の接続性の向上による積み替え機能の強化
- – 高規格コンテナターミナルにおける効率的なターミナル運営を実現させるための生産性の向上
神戸港 ポートアイランド(第2期)地区(KICT)再整備工事
■ PC-13~17の再整備
コンテナターミナルを再編し、水深-15m~-16mの岸壁延長2,200mを有する国内最大級の大規模高規格コンテナターミナルを整備するとともに、共通ゲートを整備しCONPASのシステムを導入します(予定)。ヤードには電動遠隔RTG*を整備することで、労働環境の改善や荷役効率の向上、環境負荷の低減を図る計画です。
- *RTG…Rubber Tired Gantry craneの略で、タイヤ式門型クレーンのこと
再整備前
©Google Earth
再整備後(2025年度中完成予定)
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- 水深-16m岸壁
- 拡張エリア
- 再整備エリア
集中ゲート
CFS(コンテナフレートステーション)
梱包上屋
■ PC-18の再整備
PC-18は西側を拡張し、大規模高規格コンテナターミナルとして再整備しターミナル運営の効率化を推進します。(ヤードの拡張、ゲートの増設など)また、CONPASのシステムを導入することでスムーズなゲートの通過、ターミナルの生産性の向上を目指すとともに、渋滞緩和による環境負荷低減を実現しています。加えて、ヤードには遠隔RTGを整備することで、労働環境の改善や荷役効率の向上を図る計画です。
再整備前
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再整備後
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- 水深-16m岸壁
- 拡張エリア
PC18西拡張部完成写真
インゲート
アウトゲート
神戸港 六甲アイランド地区 再整備工事
内航フィーダーバースのヤードをテナー化し、内外航の一体利用を進めています。
再整備前
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再整備後
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- 水深-16m岸壁
- 拡張エリア
大阪港 夢洲地区 再整備工事
■ 大阪港:C-10~12の再整備
大阪港夢洲地区のコンテナターミナルの機能強化としてヤードの拡張、ゲートの増設、ガントリークレーンの大型化等を実施します。特に、ターミナルゲートを大規模高規格コンテナターミナルの共通ゲートとして新たに整備し、CONPASのシステムを導入することでスムーズなゲートの通過、ターミナルの生産性の向上を目指すとともに、渋滞緩和による環境負荷低減を実現します。
再整備前
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再整備後
©Google Earth
- 水深-16m岸壁
- 拡張エリア
管理棟とインゲート
アウトゲート
CONPAS導入によるゲート利便性の向上Improved gate convenience with the introduction of CONPAS
CONPASは、コンテナターミナルのゲート前混雑の解消やコンテナトレーラーのターミナル滞在時間の短縮を図り、コンテナ輸送の効率化及び生産性の向上を図ることを目的として国土交通省が開発したシステムです。阪神港では、利便性の向上を目指し、阪神港の独自機能としてCONPAS専用携帯端末等を導入。大阪港夢洲コンテナターミナルは令和6年3月29日、神戸港PC-18は令和6年9月27日から運用を開始。その他のターミナルについては今後、導入に向けた検討を進めています。
阪神港におけるCONPASの概要
期待される効果※2と試験運用の結果
①搬出入予約
予約制度の導入により、トレーラー到着時間を平準化
②搬出入情報の事前確認
事前の搬出情報の確認、搬入情報の照合により、ゲートでのトラブルを回避
③PSカード*・携帯端末の活用
PSカードタッチ処理・携帯端末による行先表示※3により、ゲート処理時間を短縮
- *PSカード…国際埠頭施設への立入確認を円滑に行うために国土交通省が発行する身分証明書
④予約情報・車両接近情報の活用
CONPASを通じた車両情報等の活用により、ヤード処理を効率化
臨港道路
試験運用結果
- ・予約制度・CONPAS専用レーンの設定等により、ほぼ全てのCONPAS車が予約時間どおりにコンテナターミナルゲート到着
- ・大阪港DICT(実入搬出)のゲート前待機時間がCONPAS車は通常車と比較して、平均約30分減
- ※大阪港DICT第5回試験運用・神戸港PC18第4回試験運用(R5.7~8)
さらなる将来展開
CONPAS利用の拡大を図りつつ、トレーラー到着時間の平準化を目指す
ゲート
試験運用結果
- ・ゲート処理時間(実入搬出)が平均約1分減
- ・CONPAS車では搬入票エラー等によるゲート待機なし
- ※大阪港DICT第2回試験運用(R4.8~9)
- ※神戸港PC18第2回試験運用(R3.8~9)
- ※大阪港DICT第5回試験運用・神戸港PC18第4回試験運用(R5.7~8)
さらなる将来展開
より効率的なゲート作業に向けて、CONPASの機能拡充を図る
ヤード
試験運用結果
- ・ターミナルオペレーションシステムへ、CONPAS予約情報等のデータ送信機能を構築
さらなる将来展開
ターミナル事業者等と連携し、CONPAS予約情報の活用によるヤード作業の効率化を目指す
- ※1. Container Fast Passの略称
- ※2. 運用開始時以降の機能拡充の取組や他のシステムとの連携により発現される効果も含む
- ※3. 阪神港におけるCONPASの独自機能
CONPAS導入にむけたスケジュール(予定)
水素燃料によるカーボンニュートラルポート(CNP)の形成Demonstration project of cargo handling machinery powered by hydrogen fuel
脱炭素社会の実現へ、クリーンエネルギーである⽔素への期待が⾼まっており、阪神港でも港湾機能の⾼度化や⽔素等の受⼊環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を進めています。この一環で、国土交通省が港湾の荷役機械に水素エネルギーを導入する現地実証を実施することとなり、当社を中心とした企業グループは神戸港でRTGのディーゼルエンジン発電機を⽔素エンジン発電機へ換装する取組みを実施します。そのほか、荷役機械の水素燃料化や電動化など港湾運営のゼロエミッション化に取り組んでいます。
荷役機械の換装
現在はディーゼルエンジン発電機で稼働
水素エンジン発電機に換装し、水素を燃料として稼働
水素の供給・充填
LNGバンカリングによる環境負荷軽減Reducing Environmental Impact with LNG Bunkering
国際的な船舶の排出ガス規制強化に伴い、環境負荷の小さいLNG燃料船に燃料を供給できる拠点の重要性が高まっています。
阪神港では、ship to ship方式*による船舶向けLNGバンカリング*(液化天然ガス燃料供給)事業に参画。LNGバンカリングを通じて、国・港湾管理者・港湾関係者などとの連絡調整や、LNG船の誘致、船舶用LNG燃料の普及促進などに努め、阪神港の振興・発展に貢献してまいります。
- *LNGバンカリング…液化天然ガス(LNG)を船舶に燃料として供給する行為。バンカー船と呼ばれる専用船が、岸壁に係留中の船舶や錨地に停泊中の船舶にLNGを補給する
事業スキーム
事業の詳細はこちらAIによるガントリークレーンの予防保全Preventive Maintenance of Gantry Cranes with AI
ガントリークレーン*の突発的な故障を未然に防止するため、クラウドサーバーに蓄積しているガントリークレーンの運転ログデータ等と実際に発生した過去の突発故障との因果関係を解析し、AIによる故障予知モデルの構築を進めています。これにより、ガントリークレーンの故障・異常の予兆を把握でき、突発的な故障が発生する前にガントリークレーンの点検・修理が可能となるよう開発中です。
- *ガントリークレーン…船で運ばれてきたコンテナを陸に上げたり、陸から船に積んだりする巨大な荷役機械で、レールの上を移動可能な構造をもっている
台風被害を踏まえた防災機能の強化Strengthening disaster prevention functions in light of typhoon damage
平成30年の台風第21号では神戸港・大阪港とも過去最高潮位を記録し、ターミナルの浸水によるコンテナの流出など大きな被害が発生しました。
再度災害の防止の観点から、嵩上げ工事や停電対策を国や港湾管理者とともに実施しています。
被害状況
コンテナターミナル等における対策工事
南海・東南海トラフ地震の津波への対応においても十分な高さを確保
ヤードの嵩上げによる浸水対策
電源施設の嵩上げ
(コンテナターミナル)
非常用発電施設
(フェリーターミナル)
海外(カンボジア・シハヌークビル港湾公社)への出資Overseas investments
2018年12月にカンボジア唯一の大水深港であるシハヌークビル港の管理・運営を行う「シハヌークビル港湾公社」の株式の一部を取得し、阪神港視察の実施、荷役機械等に関する知見の提供、港湾計画に関するアドバイスの実施など関係強化を推進。2022年度より技術交流を開始しました。
シハヌークビル港湾公社訪問(2023年12月)
阪神港でのシハヌークビル港湾公社職員への研修
(2024年2月)
創貨事業:大阪港 食の輸出支援Currency creation business : Osaka Port food export support
国土交通省の創貨の支援制度も活用しながら港湾管理者等が中心となり、阪神港内での民間事業者の物流施設の立地を促進しています。“新たな貨物を創り出す”視点から、政府が進める「食の輸出」について港湾管理者と連携し積極的に推進しています。
リーファーコンテナ等を利用した
農林水産物・食品等への
集貨インセンティブ制度の創設
リーファー輸出混載サービスを提供するNVOCC*様向けのリーファー輸出混載サービス誘致事業や荷主様、物流事業者様を対象にした物流改善事業などインセンティブによる支援事業を行っています。事業詳細は下記をご覧ください。
- *NVOCC…Non Vessel Operating Common Carrierの略で、船舶などの輸送手段を保有せず、船会社の船舶などを利用して貨物の輸送を行う運航業者のこと
展示会への出展・商談会の開催による、国内サプライヤーと海外バイヤーのマッチング支援
大阪港からの農水産物・食品等の輸出促進を図るため、関係機関の協力のもと、展示会への出展や、商談会の開催を行っています。サプライヤーを対象とした地域商社を介した海外バイヤーとの商談による販路開拓を支援するべく、地域商社が中国・香港・シンガポールなど各地の海外バイヤーを招へいし、公募によるサプライヤーとの商談等を行っています。